低予算で作られた映画らしい。
この映画の好評価によって監督のギャレス・エドワーズがハリウッド版ゴジラの監督に抜擢されたという。
ただB級C級映画のようなタイトルが付いてるので、あんまり期待しないで見たのだが、想像の50倍面白かった。
変わった映画でロードムービーと怪獣映画を足して2で割ったような作品なのだ。
ロードムービーとしても、怪獣映画としても優秀で、素晴らしい映画だった。
ストーリーとしては、モンスターが蔓延している世界で危険地域のメキシコにいる社長の令嬢をカメラマンの男が母国アメリカに送るという話。
その男女がメキシコからアメリカへ向かうロードムービーになる。
ビフォアサンライズも思い出させる。
ロードムービーとしていい部分
まずロードムービーとしていいところは、女の方はメキシコの言葉が少し話せるのだが男は話せない。
その二人が異国を旅行している感じをドキュメンタリックに撮っていて、
異国の旅行ってそもそも面白いものだと思うが、その面白さがちゃんと映っている。
好きなシーンは、アメリカに渡る船の料金所で船だと5000ドルだと言われて、高いので値段交渉をする。
2000ドルでどうだ、いや5000でしかだめだ、5000ドルを払うか、危険な陸路で行くかだ。
結局5000ドルを払った二人は、料金所を出て、
どうする明日まで足止めだって話のなかで、男が女にテキーラを5杯おごれよという、女が2杯でどうとさっきの料金所でのやりとりをジョークにする。
普通料金所のあとのシーンなんて映画で出てこない。
でもリアルだったらこういうことあるよなっていういいシーンだ。
もうひとつ好きなやりとりが、ふたりでサバイバル状態になって、高い眺めのいいところに登って、少し語り合うところだ。
女が幼いときって笑いかたの練習するじゃない?、男はえってなって、あれしない?って笑う。
なんの脈略もないんだけど、考えて出るような話題じゃない。
リアルな二人がそこにいる感じでいい。
怪獣映画としていい部分
次は怪獣映画としてのいいところをあげる。
怪獣映画での怪獣の描きかたは2つあると思う。
1つはパシフィックリムのように、怪獣そのものをドーンと迫力あるように撮る方法。
そしてもう1つとして、怪獣のそのものではなく、その回りを見せることで、怪獣を描く方法。
例えばシン・ゴジラで怪獣が出たことで、東京の日常がパニックになっているシーンとか、ガメラ3の小さめの怪獣の死体が見つかるとか、
怪獣そのものよりも、日常生活の方が我々にとって身近なわけで、そこの変化から感じとる怪獣の方がリアルに感じられると思う。
モンスターズ/地球外生命体でいうと、過去怪獣によって壊されたんだろうなっていう建物が遠くに見えたりするシーンがある。
他には、アメリカがメキシコとの国境に怪獣避けとしての巨大な壁が作られていて、その壁が高いところに登って見える。
そういう演出によって、リアルに怪獣が存在する世界を描ききれている。
こう書くと映画に怪獣が出ない難しい映画みたいに思われるかもしれないが、実際怪獣自体が映るシーンもしっかりある。
特に、最後の怪獣襲撃シーンは、ただ襲ってくるだけで終わらない展開があって、すごい面白い。
この映画は映画好きだったら一見の価値ありだと思う。
たぶん普通の人は勧められない限り手に取らないような映画なので、面白い映画なんか知らないって聞かれたらおすすめするのにも、おすすめだ。